勤労収入と「不労収入」
私は東大を出たわけでもなく、プロスポーツ選手として一世を風靡したわけでもなく、歌うことや踊ることが大好きで毎日TVに出ているわけでもなく、斬新なアイディアがあって起業し、大成功を収めて財を成したわけではありません。
細々と一人で起業し、コツコツとお一人お一人のご相談にひざを突き合わせ、「お金と金融とその効果的な活用方法」を伝授してきました。つまり、勤労収入が莫大にあって、今のような「ちょうどいいお金持ち=定期的不労所得でゆとりある生活」を手に入れたわけではないのです。
あえて言うならば、「お金と金融に詳しい専門家」ですから、不労所得ぐらいは作れて当たりまえだと思います。
「自分が好きなこと」を仕事にしてほしい
「幼いころから夢に描いていた職業に従事した」「理想の会社に入れた」「理想の上司や同僚に囲まれて、やりがいのある部署で理想の仕事ができている」という方が世の中あまりにも少なく、日本は先進国の特徴でもある自殺率の高い国の上位に常に位置しています。
人と関われば関わるほど、組織が大きければ大きいほど、摩擦が生じ理想通りの働きができなくなってしまいます。
そうかといって、一念発起し、起業してビジネスで成功できる確率はほんのわずかです。
そもそも、働くことは、「対価を得ること」ではありますが、その前に相手に喜んでいただく「モノやサービスを提供する」ことですから、自分が活躍できるフィールドであって、生活するための我慢とか、大金を手にするためのプロセスなどとは違うような気がします。
どうせなら、好きなことを仕事にしてビジネス成功者である大企業からの配当をいただいたほうが、時間もお金もゆとりができます。
大企業は、少なくとも私より人脈も組織力も資本力ももちろん、技術や知識も豊富にあるからです。
「より多く」の大企業に出資するには
私の「なけなしの財産」では、どの上場企業も優遇してはくれません。
しかし、私のような人たちが集まって、一つのお金の塊(=ファンド・基金))を形成すれば、大企業は喜んでその資金を調達し、活用し、業績を上げ、分配してくれます。
このように、みんなで投資(出資)することを投資信託といい、最低1万円からの取引が可能です。
「小口・分散・企業調査」を行ってくれる投資信託
投資信託という仕組みは、個別に債券や株式・不動産などの取引を行うのではなく、みんながお金を出して債券や株式・不動産などを購入する仕組みであるため、
①小口の取引を可能にしたこと
②分散投資を可能にしたこと
③個人投資家では非常に困難な投資先の調査を行ってくれる専門家がいることが最大の特徴です。
(インデックスファンドの場合③はありません)
投資信託という商品が存在するのではなく、取引の形態が個別取引なのか、投資信託を活用するのかということです。つまり私たちは、投資信託という取引の形態を用いて、債券(ボンド)や株式(ストック)・不動産(リート)などを投資対象にしたそれぞれの商品に資金を委ねるということです。
「透明性」を重視した仕組み
銀行・生命保険会社・損害保険会社などの間接金融の場合は、お客様から預かった預金や、保険料を「どんぶり勘定」と揶揄されるように、社内の資産運用部門が、債券・株式・不動産などで運用し、その運用成果は金融機関全体の収益として計上されます。
そのため、個々の投資家や契約者の運用状況は不透明で、その上お客様が負担をしている手数料に関しても、不透明な仕組となっています。
一方、投資信託(直接金融)は、運用会社や販売会社とは別の信託銀行に投資家の資産が管理され、それぞれの手数料は完全に開示されている上、常にその運用状況はお客様に報告されています。
株式投資信託を例にとると、何千・何万人が集まって、株式会社に投資するので、その株券は一人が持つのではなく、信託銀行の財産とは別に保管され、投資家共同の権利として保管されるます。
「安全性」を重視した仕組み
投資信託において、信託銀行では預り資産を自社の財産とは異なる「お客様の資産」として分別管理することが義務となっています。
そのため、販売会社、運用会社、信託銀行のいずれが破綻しても、お客様の資産は全額保護されます。(預金の場合預金保護法、生命保険は生命保険保護法、損害保険は損害保険保護法でそれぞれ保護の上限が決まっています)
各機関が仮に破綻してしまった場合について確認してみましょう。
①販売会社が破綻した場合:販売会社は投資信託の取引をする窓口となり、お金のやりとりを行いますが、お金は販売会社を経由して、信託銀行が信託財産として管理しています。
したがって、破綻時にお客様が保有していた投資信託は、別の販売会社に移管され、移管先の販売会社で引き続き取引することが可能です。
②運用会社が破綻した場合:運用会社は運用指図を行うだけで、信託財産の保管や管理は行っていません。破綻時には、信託財産に影響はないのですが、運用していた投資信託は、他の運用会社に運用が引き継がれるか、繰上償還(強制満期)されることになります。
③信託銀行が破綻した場合:投資信託の信託財産は信託銀行が管理していますが、信託財産は信託銀行自身の財産とは区分して管理(分別管理)することが法律で義務づけられています。
したがって、信託銀行が破綻したとしても、信託財産に影響はありません。投資信託は、破綻時の基準価額で解約されるか、もしくは他の信託銀行に信託財産が移管されれば、投資家はそのまま投資信託を保有することができます。
このように投資信託は、制度上、各機関が破綻したとしても、投資家の信託財産は保全される仕組みになっています。
ただし、このように保全されていることと、投資信託の運用の結果には何ら関係はありませんので、運用の責任は自分にあることを認識しておいてください。
自分が成功しなくても、大企業が代わりに成功してくれる。
ただし長期保有する金融商品の破綻時の影響を確認すること。