ちょうどいいお金持ちのすすめ

お金と時間の関係

お金を使うと「時間差」がある(お金の保蔵機能)

お金が存在せず、物々交換を行っていた時代、そこには時間差はありませんでした。

今、お互いが手にしているものを交換すればいいのですから(交換の媒介)、物々交換はほんの一瞬で完了します。

 

もちろんそのころは等価交換が大前提ですが、現代社会ではお金を使うことによって非等価であっても交換が成り立ちます。(価値の尺度)

 

一方お金を使うということは、誰かのお役に立ち(サービスを提供して)その対価としてお金をいただき、何かしらのサービスや物を手にするまでそのお金は保管される(価値の保蔵)ことになります。

 

その保管期間が長ければ長いほど、先に仕事をして、あとで仕事をしてもらうわけですから、お金が腐らないように保存する技術が必要となります。これを物価上昇(インフレ)リスクへの対応といいます。

 

お金を使うことによって、まず初めに気を付けなければいけない注意点が「物価上昇」なのです。

そのことを知らない人たちは、どんなに働いてもゆとりが生まれない生活を余儀なくされるのです。

資本主義社会は「インフレ」主導

そもそも金融は、起業家という「アイディアはあるが資金のない個人や企業」が、投資家という「アイディアはないが資金のある個人や企業」から資金を借りて「ひと・かね・もの」に投資し、アイディアを設備や組織、技術や製品の形に具体化させる役割を果たしています。

 

つまり、資金調達(融資や出資)こそアイディアを現実の利潤へと転化する資本主義の増幅装置と言えます。 

 

なぜ資本主義でインフレ主導を誘発するのかというと、物価が上昇するインフレは、資金調達の実質額を相対的に年々軽くすることで、好況を強めるだけでなく、経済や企業活動を促進する働きをするからです。

 

実際、日本人の預貯金のかなりの割合が日本国債の購入に充てられていることで、国の資金調達は賄えていますが、私たちが一斉に預貯金を引き上げると、金融機関も国家も破綻してしまいます。

 

事実、過去に女子高生3人の雑談をきっかけとした自然発生的な」が原因で金融機関が倒産したことがあります。

 

これは1973年12月「豊川信用金庫が倒産する」というが流れたことから騒ぎが発生し、短期間に約20億円もの預貯金が引き出された事件でした。

 

噂(デマ)がパニックを引き起こすまでの過程が解明された珍しい事例であるため、今でも心理学社会学の教材として取り上げられることがあるようです。

 

一方、インフレに対して、デフレは負債の実質額を年々増やしていくことになり、経済や企業活動にブレーキをかけ、景気を悪化させるだけでなく、資本主義を長期的停滞に導くことにつながります。

 

「常に成長」し続けることの歪み

資本主義は、日々成長することを前提にしており、安定よりも前進や変化や進化を求めるため、創意工夫によって生産性を上げ続けることが必須課題となっています。

そのために、企業にとって、機械化も作業改善も変化や進化のための当然の宿命なのです。

 

しかし売上が前年と同じであれば、その改善分は人余りを引き起こします。まして、業績が前年割れともなれば周囲の成長に取り残され、資金繰りの悪化、最悪倒産ということにもなりかねません。

 

どんなに大きな会社でも、どんなに高給を出していた優良企業でも、この成長し続けなければならない呪縛からは逃れられません。つまり、成長第一主義が資本主義なのです。

 

余談ですが、平成の30年間における上場企業倒産は累計233件にも上りました。(産業別では、製造業の66件、建設業39件、不動産業33件、金融・保険業25件、サービス業他21件、小売業18件、卸売業16件、情報通信業9件、運輸業5件、農・林・漁・鉱業1件)

 

ちょうどいいお金持ちになるために、必死に勉強し、一流企業に勤めたからといって、長い人生の継続的・安定的な収入を確保できるとは限らないことを知っていてほしいのです。

 

一方、世界を見渡すと、いまだに原始的な生活を行っている人種が数多存在します。

100年前と同じ農作業にいそしみ、機械化も作業改善もしなかったため、成長こそありませんが今でも安定した生活を営んでいます。

どちらがいいとは言いませんが…。

 

戦時中にも似た「国民負担」

かつて石川啄木は,歌集『一握の砂』(1910年)の中で,庶民の暮らしの貧しさを『はたらけど

はたらけど 猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る』と表現しました。

この時代、明治末の日本は,日清・日露戦争,満州への進出など,近隣のアジアとの戦争に明け暮れていました。

 

その陰で,①多くの国民が兵役にとられ,②戦費の負担を強いられ,③極度の物価上昇により物は買えず、庶民の生活は苦しくなるばかりでした。『一握の砂』が出版された1910年は「韓国併合」の年でもあり,日本の軍事化がいっそう進み,その分,国民の負担は増大しました。

 

いくら働いても一向に生活苦から解放されない庶民は,ため息をつきながら,自分の手をじっと見ているしかなかった,という状況を,啄木はこの短い歌の中で表現したのでした。

 

現代日本も、世界に類を見ない少子高齢社会を迎え、

①労働人口が急激に減少し

②社会保険料や税金の負担が上昇し、

③収入が伸び悩む中、基本生活費が占める割合が高くなっている状況です。

 

石川啄木の時代から100年経った今でも、多くの国民は豊かさとは反する過剰労働に悩まされているのです。

 

働き方を改革するという企業や労働者への義務付けを行う前に「縦割り行政制度をはじめ、様々な社会構造改革」を急がなければ、今後も多くの人々が苦しむことは容易に想像できることです。

 

お金そのものに「価値」はない

「お金そのもの」は単なる紙や金属であり、大した価値はありません。加えて日本のお金は不換紙幣といい、その紙幣が示す金額が、金(金属の「きん」)との交換を保証されるものではありません。

 

普段は意識しませんが、「お金」の価値は、多くの人々が「お金はその同額のものと交換できる」と信じ込んでいてこそ発揮されるものです。

 

現在の「不換紙幣」は、各国政府がその価値を保証するからこそ、皆がその価値を「信じ込む」ことができているのであって、その政府の信用がなくなるとジンバブエドルのようなパニックに陥り、最悪の場合「ただの紙切れや金属片」になってしまいます(信用リスク)

 

このように、お金そのものには価値がなく、「誰かの保証」や「利用するものの共通認識」によってお金が交換の手段として成り立っているのです。

 

日本最古の通貨と言われている和同開珎(一説では富本銭のほうが古いと言われている)を、スーパーに持って行っても何も買えないことからも、①誰の保証で、②共通認識があって、③物価上昇に弱いものであることがお分かりいただけるでしょう。

 

また、『おかねはつこうてなんぼ!』という表現も、「お金は使ったときに初めて価値が現れる」と言い換えれば、お金そのものに価値がないことがお分かりいただけると思います。

 

お金の「種類」が増えている

一円・五円・十円・五十円・百円・千円・五千円・一万円…今は見ることがなくなった二千円…という話ではありません。

 

日本では、日本銀行が発券する紙幣「日本銀行券」と、日本政府の直轄施設である造幣局が製造する「硬貨」を合わせて「現金やお金」と呼びます。

ただし、現代社会において前述のような紙幣、硬貨はもはや「お金」の一部でしかなくなっているのが現実です。

 

政府の保障のある紙幣や通貨以外にも、物的貨幣である商品券や地域振興券などや、暗号資産(以前は仮想通貨)と呼ばれる「法定通貨と比較した場合強制通用力を持たず、特定の国家の裏付けのないもの」も登場しています。

(日本では、暗号資産(仮想通貨)に関する法律は2016年に成立し、2017年4月に施行され改正資金決済法第2条第5項で、「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」又は「不特定の者を相手方として相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」と定義されました)。

 

そうはいっても、お金の大部分は「預金通貨」と呼ばれる銀行預金が占めていることには変わりなく、預金はお金の中でも政府や日銀以外が発行する唯一の法定通貨であり、銀行の貸出(信用創造)によって発行されています。

お金の「決済方法」

「モノやサービスの提供を受けたらお金を支払う」。その決済方法も多様化しています。

 

①事前決済型=プリペイドカード。

事前に代金を支払って購入するもので、商品券とは異なり、残額がゼロになるまで繰り返し利用できます。

 

発行者側には、使用完了までの間に利用者側が前払いした資金を運用することが可能であると同時に、釣り銭の用意や販売機等に投入された硬貨の回収の手間が省けるなどの利点があります。

また利用者側には、小銭を持ち歩く必要がなく、カードによってはプレミアム(おまけ)やポイント還元により現金での決済より有利などの利点があります。

 

難点は、クレジットカードの場合と異なり、基本的にはチャージ済み残高の不正使用や、プリペイドカードの紛失・盗難・障害に関する補償がないことです。

カード使用の際も、基本的に信用照会、与信照会は行われず、残高チェックだけが行われます。

 

②即時決済型=デビットカード。

預金口座と紐付けられた決済用カードで、金融機関(一般的に銀行)が発行し、このカードで決済すると代金が即時に口座から引き落とされる仕組みです。

 

クレジットカードと異なり、原則として口座残高を超えない範囲で使用できますが、当座貸越やカードローンと組み合わせて残高以上の決済承認を求められた場合に自動借入のサービスを行っている金融機関もあります。

 

通常はカードの発行に際して審査を行わないものが多いのですが、口座開設に関しては本人確認が必要なため、匿名で所有することは出来ません。

 

口座の預金額以上には使用できない事から、子供の小遣い用にデビットカードを持たせることもあるようです。また、使用可能な店舗を保護者が指定、管理できる小遣い用デビットカードのサービスを提供するサービスも登場しています。

 

③事後決済型=クレジットカード。

クレジットカードは、加盟店にて商品の購入に際しクレジットカードを利用すると、いったんクレジットカード会社が加盟店への支払いを肩代わりし、後でカード利用者へ代金を請求する仕組みです。

 

米国や日本では、カード払いでも現金払いでもカード利用者への請求額は同額ですが、加盟店に実際に支払われる金額は手数料を差し引いた金額です。

 

難点は、カードの不正使用があった場合、加盟店は加盟店管理会社に自らの瑕疵のなかったことを証明しなければならず、それができなければ不正使用の損失はその商品・サービスを販売した加盟店が被ることになります。

 

ツボ55 「自分に合う」決済方法

 

事前決済・即時決済・事後決済の選択を行うことは、家計や経営にインパクトを与えます。

 

事前決済でありながら、なんらポイントや特典がない場合と、事後決済であるにもかかわらず、ポイントや特典がある場合とでは、長期にわたり「使える金額」に大きな差が生じます。

 

金銭的ゆとりのある生活のためには①支払は遅く、②特典は多くが基本ですから、利用者の側から選択するとしたら、利用額をきちんと把握したうえでクレジットを活用することがお得だと言えます。

 また、クレジット加盟店でない店舗での支払いの場合は、第二の決済方法としてクレジットでチャージすると特典があるプリペイド払いを用意しておくことも「生涯で使える金額の増加」という観点では重要なカギとなります。

 

しかし、クレジットの場合、利用額を把握していないと使いすぎてしまうことや、加盟店側の負担があるため、利用者側は支出管理ができることが前提であり、加盟店側は、代金回収までの時間と手数料負担が前提となることが難点です。

 

今後、キャッシュレス化が進む中、「支払い方法」を自分の生活スタイルに合わせることで支出可能額に大きな差が生じることを認識しておいてください。

 

「いつもニコニコ現金払い」は、今は昔の話となってしまいました。

 

 

お金は使うまでに時間がかかる。

 

物価上昇・信用リスクを回避し、支出可能額が増加する「自分に合う」決済方法を選択する。

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